第10巻 鍵盤曲2


やっと手が伸びた鍵盤曲2。
最大の関所越えなるか・・・。


CD1〜2 プレリュード集
BWV894 プレリュードとフーガ イ短調
BWV900 プレリュードとフゲッタ ホ短調
BWV902/1a プレリュード ト長調
BWV904 ファンタジーとフーガ イ短調
W.F.バッハのためのクラヴィーア小曲集から
 9つの小プレリュードから
 
BWV924〜928,930,931
 6つの小プレリュード/5つの小プレリュード
 
BWV933〜943
 BWV994 運指練習曲
BWV944 ファンタジーとフーガ イ短調
BWV955 フーガ 変ロ長調
BWV958 フーガ イ短調
BWV959 フーガ イ短調
BWV963 ソナタ ニ長調
BWV993 カプリッチョ ホ長調
独奏:ルージイチコヴァ
 2年ぶりにスタートの鍵盤曲は時に軽やかに、時に重厚に・・・。
 チェコの名匠の演奏は総じて繊細で耳に優しい。
 協奏曲や平均率で聴いた覚えのある音楽も多い。
 一分足らずの曲になんと魅力的な音楽が多いのに驚き。
 終盤BWV944以降のフーガのちょっと重い雰囲気は、
 最後のふたつの長調作品で拭い去られる。
 1枚目最後の"BWV994"は鍵盤曲最後の番号だが、
 ここでの最後にはまだまだ10枚残っている。(2010.11.06)


CD3 トッカータ
BWV912 トッカータ ニ長調
BWV914 トッカータ ホ短調
BWV910 トッカータ 嬰へ短調
BWV916 トッカータ ト長調
BWV911 トッカータ ハ短調
BWV913 トッカータ ニ短調
BWV915 トッカータ ト短調
独奏:ファン・アスペレン
 バッハ初期?の作品群はどれも意欲的でその楽想はオルガン曲にも劣らない。
 特に堂々たるフーガはどれも立派なもの。
 先のプレリュードに比べるとなんとも豪華絢爛な音楽が続くが、
  アスペレンのおおらかで理屈ぽくない演奏で親しみやすい1枚。(2010.11.10)


CD4 半音階的幻想曲とフーガほか
BWV903 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調
BWV895 プレリュードとフーガ イ短調
BWV952 フーガ ハ長調
BWV823 組曲 ヘ短調
BWV992 カプリッチョ 変ロ長調 「最愛の兄の旅立ちに寄せて」
独奏:レオンハルト
BWV989 イタリア様式によるアリアと変奏 イ短調
BWV1087 14のカノン

独奏:ウィルソン
 御大レオンハルト登場である。Kitaraでその神々しさに圧倒されたのはいつだっけ・・・。
 冒頭、半音階的幻想曲ではちょっと背筋がのびるが、姿がないぶん音楽に溶け込める。
 ハ長調でのフーガではオルガンをポコポコと弾いて御大も愛想が良い。
 ここでの組曲は管弦楽によるものよりぐっとしっとりとした音楽。
 異色なのはBWV992。軍隊に入る兄との別れを叙事的、叙情的に綴った描写音楽である。
 ポストホルンをまねた短い音形が面白い。各楽章冒頭のタイトルを御大が呼んでくれる。
  最後の2曲は奏者が変わる。明晰だが御大の後では腰の軽い音楽で分が悪い。(2010.11.13)


CD5 イタリア協奏曲と組曲
BWV971 イタリア協奏曲 ヘ長調
BWV831 フランス様式による序曲 ロ短調

独奏:ロス
 管弦楽、あるいは弦楽合奏の響きを意識したとも思える作品ふたつを収めた1枚。
 前半のヴィヴァルディやテレマンに近い軽やかさ、華麗さはまさに「バロック音楽の楽しみ」。
 後半は4曲ある管弦楽組曲と同じく"Overture"のタイトルを持ち、
 長めの序曲にいくつかの舞曲が続く管弦楽組曲と同趣向の作品。
 ロスの淀みのない演奏は前半の華やかさ、しっとりとした後半と対比が見事。
 ただこのくらいの楽想になると音楽にダイナミクスがほしくなってくる。
 そこがチェンバロという楽器そのものの弱点なのかしら?(2010.11.23)


CD6 ゴルトベルク変奏曲
BWV988 ゴルトベルク変奏曲
独奏:レオンハルト
 独奏楽器のためにこれだけの楽章からなる曲というのは一つの破格なことなのだろう。
 グレン・グールドがいなくても、この曲は現代においてそれなりの敬意を払ってもらえたと思う。
 とあるお金持ちが眠れぬ夜にお抱えの楽師に弾かせたというエピソードを浮かべると、
 ちょっと音符が密で快活な音楽が続く。少なくとも自分はこれでは眠れないだろなと思ったが、
 1回半も聴くと慣れてしまうのか、さすがに夜中のせいか、いつの間にか眠りにつくことはできる。
 最後の変装のスケール感と続くアリアの対比など、先のロスに感じた思いが吹き飛んでしまう。
 さすが御大レオンハルト。全曲50分足らずがあっという間に過ぎていく。
 この演奏はリピートを省略したものとか。フルにリピートされると自分にはつらいかもしれない。(2010.11.28)


CD7 ソナタとフーガ
BWV964 ソナタ ニ短調
BWV965 ソナタ イ短調
BWV966 ソナタ ハ長調
BWV968 ソナタ ト長調
BWV954 フーガ 変ロ長調

独奏:シュタイアー
 ここに聴く5曲はいずれもオリジナル作品ではなく、
 しかも解説によれば奏者シュタイアーの編曲も含め、
 バッハ以外の手によると思われるものも少なくない量で収められている。
 そんなことを思いながら聴くとなぜか面白みのないリスニングになる。
 シュタイアーの演奏は速いテンポの曲ではメリハリがあって楽しく聴けるのだが、
 ゆったりとした部分ではちょっとロマン的な方向に傾いていたところがあって、
 ベタベタとした感触があって自分にはちょっと重い。(2010.12.07)


CD8 プレリュードとフゲッタ
BWV833 プレリュードとパルティータ ヘ長調
BWV896 プレリュードとフーガ イ長調
BWV899 プレリュードとフゲッタ ニ短調
BWV901 プレリュードとフゲッタ ヘ長調
BWV902 プレリュードとフゲッタ ト長調
BWV906 ファンタジーとフーガ ハ短調

BWV921 プレリュード ハ短調
BWV922 プレリュード イ短調
BWV929 プレリュード ト短調
BWV917 ファンタジー ト短調
独奏:バルキ
BWV918 ファンタジー ハ短調
独奏:シュタイアー
BWV846a プレリュード ハ長調
BWV847a プレリュード ハ短調
BWV851a プレリュード ニ短調
BWV855a プレリュード ホ短調
独奏:ボーモン
 2分足らずの佳曲がたくさん並ぶ1枚。
 いずれも流れるような細かい動きが聴いて楽しい。
 協奏曲や平均率で聴いた覚えのある音楽も多い。
 一分足らずの曲になんと魅力的な音楽が多いのに驚き。
 終盤BWV944以降のフーガのちょっと重い雰囲気は、
 最後のふたつの長調作品で拭い去られる。
 終盤は「平均率」の初期稿が4曲。
 エラートの助っ人がクラヴィコードでポコポコと可愛い響きを聴かせる。(2010.12.20)


CD9 組曲ほか
BWV822 組曲 ト短調
BWV836 アルマンド ト短調
BWV813a メヌエット ハ短調
BWV832 組曲 イ長調
BWV946 フーガ ハ長調
BWV947 フーガ イ短調
BWV948 フーガ ニ短調
BWV949 フーガ イ長調
BWV950 フーガ イ長調
BWV923 プレリュード ロ短調
BWV951 フーガ ロ短調
BWV953 フーガ ハ長調
BWV961 フゲッタ ハ短調
BWV967 ソナタ イ短調
独奏:バルキ
 2つの古びたスタイルの組曲がメインの1枚。
 ト短調の方はバッハというよりテレマンあたりの雰囲気に近い。
 実際、組曲を含めその他の曲も他人の作品の転用、編曲だったり、偽作の可能性もありということで、
 いずれもこの全集のために新録音されたものという。
 確かに有名曲の持つ高みは感じられないが、捨ててしまうには惜しい曲ばかりである。
 独奏のバルキ(イタリアの人)が親しみやすいかげりのないスタイルで弾いている。(2011.01.05)


CD10 ヴィヴァルディ作品からの編曲協奏曲
BWV972 協奏曲 ニ長調
BWV973 協奏曲 ト長調
BWV975 協奏曲 ト短調
BWV976 協奏曲 ハ長調
BWV978 協奏曲 へ長調
BWV980 協奏曲 ト長調
独奏:ボーマン
 冒頭「調和の霊感」第1番が澄み切った響きで鳴り渡る。
 もうそれでこの1枚の虜。
 確かにこれは純然たるバッハではない。
 しかしなんとも美しい響き。
 イ・ムジチが聴かせるカンタービレとはまた違った無垢な響き。
 これらの編曲の誕生には興味深い事情があったようだが、
 この1枚との出会い、ヴィヴァルディ、バッハ、そしてボーマンに感謝。 (2011.01.15)


CD11 様々な作曲家からの編曲協奏曲
BWV974 協奏曲 ニ短調
BWV977 協奏曲 ハ長調
BWV979 協奏曲 ロ短調
BWV981 協奏曲 ハ短調
BWV982 協奏曲 変ロ長調
BWV983 協奏曲 ト短調
BWV984 協奏曲 ハ長調
BWV985 協奏曲 ト短調
BWV986 協奏曲 ト長調
BWV987 協奏曲 二短調
独奏:バルキ
 おなじみのマルチェルロのオーボエ協奏曲の調べでスタート。
 しかしボーマンのヴィヴァルディとは違って、やや暗く、重い響き。
 音楽の流れも固めで今一つ。
 CD1枚を通してこの傾向は変わらない。
 短調の作品が多い分こうした雰囲気になるのだろうか?
 それにしてもこの変わり様は・・・。 (2011.01.28)


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