第9巻 鍵盤曲1


鍵盤曲という言い方がすでに堅苦しい、自分としてはおそらく一番苦手なジャンル。
さっさとすませたいが、「鍵盤曲1」があるということはその「2」もあるわけで・・・。
・・・?!22枚もあるよ・・・orz


CD1 インベンションとシンフォニア
BWV772〜786 インベンション
BWV787〜801 シンフォニア
独奏:ルージイチコヴァ
 苦手なジャンルがこの1枚からスタートするのはありがたい。
 インベンションは2声、シンフォニア3声の練習曲。
 短くて、聴く分には平易な響きの音楽が30曲。
 解説によれば自分の安易な思いとは程遠い崇高な教育的な意図の下まとめられたようだ。
 よく見るとハニホヘト・・・と曲順につれて調性が地味に上がっていっている。
 ルージイチコヴァの演奏はノイマンとの協奏曲のように硬すぎず、重くなくてよい。
 というよりノイマンの伴奏が重かったのかしら?(2008.09.17)


CD2〜4 イギリス組曲とフランス組曲
BWV806〜811 イギリス組曲第1〜第6番
BWV812〜817 フランス組曲第1〜第6番
独奏:カーティス
 CD3枚にイギリス組曲とフランス組曲が交互に1番から収められている。
 解説によれば、前者にはイギリス人に献呈したためというのと、
 イギリスで活躍したフランス人の作風に由来するという二つの説があるらしいし
 イギリス組曲はイタリア風に冒頭にプレリュードを置いているが、
 その他の舞曲は様式的にフランス組曲よりフランス的らしいとか・・・。
 要は管弦楽組曲のチェンバロ版と思えばよいのだろう。
 個人的には3枚目の5番、6番の音楽がより充実度を増している感じがした。
 カーティスの演奏は強烈な個性は感じられないが、
 音楽の硬軟というか、重厚さと華やかさのバランスがいい。
 解説によればアメリカ生まれのレオンハルト門下、なるほど・・・。(2008.10.11)


CD5
BWV819 組曲変ホ長調
BWV821 組曲変ロ長調
BWV841〜843 3つのメヌエット
BWV844 スケルツォニ短調
BWV818a 組曲イ短調
その他組曲の異稿から
独奏:ルージイチコヴァ
曲の形式、成り立ちからして、先の曲集を補完する1枚。
チェコの名匠の演奏は繊細、軽やかで、カーティスの音楽との違いに驚かされる。
CDの半ばには愛らしい曲調の3つのト調の短いメヌエットが並び、
続いてシンコペーションを効かせてリズムに変化を持たせたスケルツォが聴ける。
そういえばベートーヴェンの交響曲以前のスケルツォというのはほとんど記憶がない。
ただしこのスケルツォ、フリーデマンの作として偽作扱いされているらしい。(2008.10.15)


CD6〜7 6つのパルティータ(クラヴィーア練習曲集第1部)
BWV825〜830 パルティータ第1〜第6番
独奏:ロス
 4番の途中でCDが変わるので解説書をよく見てみると全4曲で144分。
 区切りのよいところで曲が終わらない。
 各曲アルマンドに先駆けて、前奏曲やシンフォニアが鳴り響く。
 先のイギリス組曲、フランス組曲よりは舞曲らしさがやや後退してかっちりとした感じの音楽。
 最後の第6番のジーグなど、短調の曲の充実度は高いようだが、
 第1番前奏曲のような軽やかさも捨てがたい。
 38歳で早逝したロスの演奏(あるいは録音)は先の二人に比べて、高音域が華やか。
 風邪気味の耳にはイアフォンで聴くにはちょっとそぐわない。(2008.10.27)


CD8〜9 平均率クラヴィーア曲集 第1巻
BWV846〜869 プレリュードとフーガ第1〜第24番
独奏:ウィルソン
 早くも鍵盤曲1でこの曲集が登場だ。
 リヒテル、グールドといったピアノの演奏、
 さらには「名演奏家の時間」のテーマに慣れ親しんだ自分である。
 実はチェンバロで聴く平均率というのは意外となじめない。
 かつてコープマンの演奏(たしか来日時のライブ録音)を聴いてもそうだった。
 なんとも透明感のあるハ長調のプレリュードに期待が高まる。
 しかしである・・・。そのあとの演奏はなんともよろしくない。
 レオンハルトに師事し、古学のメジャーたちとの共演もある人のようだが、
 縦線は揃わず、響きは濁り、狙ったにしては、下手すぎるのではないかしら?
 第1番フーガ冒頭の付点音符の無視などは問答無用の打ち首ものである。
 中盤からはこちらが慣れたのか、あるいはウィルソンが立ち直ったにも思えるが、
 随所に「えーと、えーと」と楽譜にかじりつきながら弾いている素人ぽさがあって、
 音楽に身をゆだねることができない。(2008.11.04)


CD10〜11 平均率クラヴィーア曲集 第2巻
BWV870〜893 プレリュードとフーガ第1〜第24番
独奏:ウィルソン
 第2巻は第1巻に比べると聴くことがほとんどなく、思い入れはほとんど皆無の24曲。
 ジャック・ルーシェか、スイングル・シンガーズで聴いた曲以外はほとんどわからない。
 そのせいか、こだわりなく24曲が耳を、頭をすり抜けていく・・・。
 ウィルソンの演奏も第1巻に比べればこなれているように思える。
 それでもこの曲集、レオンハルト、コープマンといったチェンバロ演奏を含めても、
 自分の趣味としては、ピアノ演奏のほうがしっくりくる。(2008.11.22)


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