「ラストコンサートのブラームス」

54年4月4日、トスカニーニ最後のコンサートなったワーグナー・プロ。

最後から2曲目、「タンホイザー」のバッカナーレ(ヴェヌスベルクの音楽)の後半、トスカニーニの指揮振りが怪しくなったとき、

NBCのクルーは、カーネギーホールからの生放送を中断し、コメントの後にブラームスの交響曲第1番の冒頭を流しました。

そのときのブラームスがはたしていつの演奏か?という疑問がダノンさんの会議室で話題になりました。

その書き込みにもありましたが、挿入されたのは37年12月25日、

すなわちこのコンビの第1回目の演奏会のものであるといううわさを聞いたことがありました。

そこで今回、手許のCDをあらためて聴いて確かめてみました。

聴いたのは次の通り、わずか8小節ほどの短期決戦です。

      37年12月25日 伊The Radio Years  RY14
      40年 5月 6日 米Music & Arts    CD−833
      41年12月11日 日BMG           BVCC−9710
      51年11月 3日 伊Arkadia         CDGI 706.2
      51年11月 6日 日BMG           BVCC−7008、BVCC−9925
      54年 4月 4日 日WING           WCD 38

最後のWING盤が問題の生放送の音声をそのまま収録した?とされるCDです。

ブラームスの挿入も含め大変よい音で入っています。

それから今初めて気がついたのですが、日BMG−9925は”NBC Broadcast of November 6,”とミスっています。  

ちなみに43年の録音が収録されたMusic & Arts から出ていた全集はもっておりません。

結論からいいまして、100%の断定は避けますが、ほぼ51年11月6日の正規録音を使用したものと考えます。

目印となるのは挿入された演奏では、第2小節の1拍目、

半小節遅れて下降する第3、4ホルンの二つ目の音にアクセントと後押しが目立つこと。

これが聴こえるのは、41年盤とこの二つの演奏だけでした。

また挿入された演奏はテンポが速めで、かつきびきびとしたイン・テンポですが、

51年盤はこれにぴったりで、41年盤はややゆったりとしたテンポ運びです。

37年盤は速めのテンポながら5小節目から微妙にテンポにゆれが感じられます。

ただし37年の演奏ですが、手持ちのCDではちょっと音が悪すぎます。                              

それと気になる未聴の43年の録音、この二つを留保の条件としておきます。

以上、簡単ながら真夜中の報告でした。 

2002.9.6 AM1:00 by Massa−

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